2014年5月30日(金)
さて「
大統領の料理人」を見て、今日は以前から書こうと思っていた
『グラスの持ち方』について書いてみたいと思います。
この映画の中で、ミッテラン大統領が、夜遅く、一人でオルタンスの厨房にやってきて、黒トリュフの香りを嗅ぎ、赤ワインを飲みながら、スライスしたトリュフをたっぷりのせたトーストを食べるシーンがあります。
そのとき、大統領は、グラスのボウルの部分(ワインを入れる丸いところ)を持っています。
他にも、食事会のシーンなど、ワイングラスを手にしているシーンはたくさんありますし、別にこの映画に始まったことじゃなく、他のどんな海外ドラマや映画を見ても、ほとんどの場合、ワイングラスの脚ではなく、ボウルの部分を持っているはずです。
私のブログを見ても、ね↓。(これは昨年の誕生日パーティのときです。)

↑我が家では昔から、私はじめ友人たち一同「グラスのボウルを持つよう」親方に指導されてきました。
この記事を書くにあたり、ネットで「グラスワインの持ち方」を検索してみると、
このページや
このページにも、「
グラスは脚(ステム)ではなくボウル部分を持つのが基本」とあります。
ご存知の方には「何を今さら言ってるんだ。」という事実なのですが、
まだまだどんなグラスも脚(ステム)を持つのが正しいと勘違いしている方は大勢いるようなのです。
かくいう私も、二十数年前バブル時代ののマナー教室で「ワイングラスは脚を持つ」と教えられて、聖域を死守するかのごとく、一生懸命ステム(脚)だけを持っていました。だから親方に「それはおかしい。」と言われたときは「え〜っ!」と驚き訝りましたが、でもなるほど映画をよく見てみれば、皆ボウルを持っているのです。
じゃあ、グラスの脚を持ってはいけないかというと、もちろんそんなことはありませんよ。そのあたりは
リーデルの公式サイトを参考にしてください。
冷えた白ワインを飲んでいるのに、手の温度が高いと脚を持ちたくなるし、手が小さい人が立派なグラスの大きなボウル部分を無理やり持とうとしたら、かえってエレガントじゃないし。
だいたい、マナーなんて絶対的なものじゃありませんから、脚を持ちたければ、脚を持てばいいのです。
ただ、基本はボウル部分を持つと知っていて脚を持つのと、脚を持つのが正しいと思い込んで脚を持つのでは、ずいぶん違うと思います。
グラスの脚(ステム)や台座を持つのは、テイスティングするとき(ワインを分析しながら味わうとき)の作法とされています。
ですが、あまり書かれていないけど、もうひとつあって、「
グラスの脚を持つのはサービスする側の作法」だということです。
あたりまえだけど、レストランのサービス係はボウル部分を持ちません。
ボウルは客人(ゲスト)が持つべきところだからです。
私も、お店ではもちろんホームパーティでも、ゲストにワイングラスを運ぶときには脚を持ちます。(自分が飲むときには、ボウルを持ちますよ。)
だから、サービスされるのが当たり前のセレブほど、堂々と、がっつりボウルの部分を持ってます。(「グラスの脚なんて使用人が持つところよ。」と思ってらっしゃるかどうかは存じませんが。)
だから、レストランで、ゲストなのにグラスのボウルに決して触らないように、常に脚を持って飲んでいるのは、奇妙なものなのです。
カジュアルなグラスなら尚更。ね。
先日、
和食屋さんに行ったとき、椀ものを出してくれるとき、蓋に霧吹きで水をかけて出してくれました。
それを見て理由を尋ねたら、漆の塗物は指紋が付きやすいとか、シズル感を演出するとか、いくつか理由はあるけれど、一番は「
このお椀は貴方だけのためのものです。貴方に出す前に、他の誰も蓋に触っていません。」ということだそうです。
客人だけが、堂々と蓋に触って開ける権利があるのです。
グラスのボウルも一緒だな、と思いました。自分のためのグラスだから、堂々とボウル部分を持つ権利があるのです。
水滴をまとったお椀の蓋が貴方に開けられるのを待っているように、グラスのボウルも芳醇な液体をたたえて貴方に触れられるのを待っているのです。
だからって、今度は脚を持たないように、ボウル部分だけを持つように、必死にならなくてもいいんですよ。
英国女王もオバマ大統領もキャリー•ブラッドショー(Sex and the City)も、皆さんリラックスして、持ちやすいように、好きなところを持っています。
ボウル部分をがっちり抱えこんだり、脚に指をひっかけたり、持ち方もいろいろです。脚や台座を持っていることもあります。
貴方がサービスする側ではなく、ワインを飲む側ならば、好きなようにしていいのです。
リラックスして楽しむのが一番。
ですから、今まで勘違いしていらっしゃった皆様、これからは、縮こまって後生大事にグラスの脚ばかり持ってないで、気兼ねなく好きなところを好きなだけ持って、ワインを楽しんでくださいね。
ってことで、今日もお付き合いくださり、ありがとうございました。
良い週末を!
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